
不動産登記の手続きに「登記識別情報」という言葉が出るけど
いったい、どういうものなの?
私も自分で不動産登記申請をするまで「登記識別情報」について良く知りませんでした。
初めて「登記識別情報」の言葉を聞く人のための、分かりやすく解説します。
「登記識別情報」とは、所有者のみが知る12桁の文字列
昔の映画などで「土地の権利証」という言葉が良く使われていましたがご存じでしょうか?
その昔は不動産登記をすると、法務局(登記所)が「登記済権利証書」を発行していました。
これが、いわゆる「権利証」で、不動産の所有者の証でもありました。
そしてこの「権利証」は、平成17年の不動産登記法改正の施行から徐々に法務局がオンライン化し「登記識別情報」という12桁の英数字情報の発行に切り替わりました。
つまり「所有者」しか知らない12桁の英数字の文字列(識別コード)が「権利証」の代わりとなりました。
(※切り替え以前に登記をしていれば、今も「権利証」のままです。)
さて、「権利証」と「登記識別情報」の大きな違いは、「物理的な物(紙)の所有」に価値があるか、「情報の所有」に価値があるか、ということです。
手続き的には以下の違いとなります。
・「権利書」を提出できれば「所有者」と推定される。
・「識別情報(英数12桁)」を提示できれば「所有者」と推定される。
「登記識別情報」の発行形態は?
「登記識別情報」は英数12桁の文字列の情報ですが、この発行形態は「紙に印刷した通知書」です。

「登記識別情報通知(上記見本)」の下部に登記識別情報が印刷されています。(平成27年からQRコードも追加された)
紙なので、誰かにこの文字列を見られたら困りますね。
実際には「登記識別情報」の上に「目隠しテープ」状のものが貼られています。
通常は「目隠し」を剥がさずに通知書を保管するので、所有者も通知された識別情報(識別コード)を見ないままのことが多いです。
ちょっとアナログな感じもしますね。
「登記識別情報」はどうやって使う?
例えば、「権利証」は「不動産売買に伴う所有者変更の不動産登記申請」等の時に申請書類の一つとして原本を添付して使います。
「不動産登記識別情報」の場合は以下のようになります。
・書面申請の場合:「登記識別情報通知」の紙(目隠しは剥がす)のコピーを法務局へ提出
・オンライン申請の場合:登記識別情報(英数12桁)をパソコンからオンライン入力して送信
なお、登記識別情報(英数12桁)は所有者が変わらなければ使い続ける想定とのことです。(法務省QAから)
つまり、次の所有権移転までの間の登記手続き、例えば「権利の一部移転」などの登記があれば、同じ「登記識別情報(英数12桁)」を使い続けるようになります。
必要なのは情報だけとはいえ、書面申請では「登記識別情報通知の紙のコピー」が必要になるので注意しましょう。
「登記識別情報」を失くしたら!?
大切な「登記識別情報通知」書ですが、時間がたつと紛失することもあります。
でも基本的には問題ありません。
ここでは省略しますが、別の方法で「所有者であること」を確認し登記申請する方法があります。
そもそも、不動産登記の手続きの中で「登記識別情報を発行しない」という選択肢がある位ですから。
「発行しない」選択肢がある理由は、「発行してもらうと、登記識別情報を誰かに見られたりしても気が付かず、不正な登記が行われるリスクがある」からのようです。
確かに、一度、目隠しを取った「識別情報通知書」は、誰かに盗み見られても、気が付かないですね。
とはいえ、通常は「登記識別情報」を発行してもらいます。
私が自分で相続登記をやった経験をもとに登記申請方法を解説した記事があります。
「相続の不動産登記 名義変更を自分でやってみた!」(ブログ内リンク)
相続登記に必要な手続きがわかります。どうぞ参考にしてください。